安全を支えるITS
交通事故は、全国的に減少傾向にあるとはいえ、その死傷者数は依然として深刻な状況にあります。なかでも、愛知県の交通事故死者数は全国一を争う状況が続いています。
当事者のみならず、家族や知人、関係者なども含め、広範に深刻な被害をもたらす交通事故。こうした交通事故の防止をはじめとする安全な交通社会の実現は、わたしたちの悲願といっても過言ではありません。
ITSは、わたしたちの社会の様々な課題解決に寄与することが期待されていますが、とりわけ重要な社会的使命を担うことが期待されているものは、やはり「安全を支えるITS」と考えられます。国においても、安全運転支援システムや自動運転システムなどITSの活用により、「世界一安全で円滑な道路交通社会」の構築を目指すこととしています。
事故の様態と安全運転を支援するITSのいろいろ
平成28年中に起きた全国の交通事故死者数は3,904人で、うち愛知県は212人でした。愛知県では、事故類型別の交通事故死者数のうち、出会い頭事故の死者数の割合が18.9%で、全国に比べ6.1%高くなっています。また、当事者別では歩行者の占める割合が38.7%で、全国に比べ3.8%高くなっています。
こうした交通事故の防止を目指して、安全運転を支援するさまざまなITS技術の開発・導入が進められています。
過去10年間における
愛知県内の年間交通事故死亡者推移(人)
事故類型別交通事故死者数
愛知県は出会い頭事故の割合が
全国と比較すると6.1ポイント高い。
当事者別交通事故死者数
愛知県は歩行者の占める割合が
全国と比較すると3.8ポイント高い。
参考:(平成29年3月21日開催)愛知県自動車安全技術プロジェクトチーム会議資料
こうした交通事故の防止をサポートしてくれるITSが、
わたしたちの身近にあります。
ITS Connect(アイティエスコネクト)
見通しの悪い交差点などにおいて、車両同士や道路に設置された路側インフラ設備との無線通信によって、対向車や横断歩行者の存在、信号灯火の情報などをドライバーに知らせることで、安全運転を支援します。
このうち路車間通信システムを用いた代表的なシステムがDSSS(安全運転支援システム)です。
その他の機能として、車車間通信により、複数の車両が一定の車間距離を維持しながら隊列走行するC-ACC(cooperative adaptive cruise control)や、緊急車両(救急車)の接近を知らせるシステムもあります。
詳細は、ITS Connect推進協議会をご覧ください。
VICS(道路交通情報通信システム)
近赤外線による光ビーコンを活用した路車間通信により、一時停止規制の見落とし防止や出会い頭の衝突防止などについてドライバーに知らせることで、安全運転を支援するシステムです。
ETC2.0
5.8GHz帯の電波を活用して、高速で大容量の無線通信により、カーブの先での渋滞や、道路上の落下物などについて、ドライバーに注意喚起することで、運転中のヒヤリを軽減する安全運転支援システムです。
ASV(先進安全自動車)
先進技術を利用してドライバーの安全運転を支援するシステムを搭載した自動車です。平成3年度から本格的な研究開発が進められ、そこで培われた様々な安全技術は、現在販売される自動車に数多く採用されています。