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ITSの新しい研究を紹介します!

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協議会では、29年度より実施するITSの研究テーマについて、28年度に会員の皆様に提案を呼びかけました。

今回は、ITSの活用により安全・安心な移動につながるようなものとし、交通安全対策や公共交通の利便性に関する提案がありました。

提案について、協議会の「ITS安全・安心グループ」会議において実現可能性などを検討した結果、名城大学理工学部の松本幸正教授(特別会員)が提案した下記の研究テーマが選定され、29年度総会において支援事業として承認されました。

研究は29年度より3年を目途に実施予定で、今後開催するセミナー等でも紹介していきます。

◆テーマ:IoT技術を利用した新たなバスロケーションシステムの開発と災害時情報配信システムへの展開◆

研究の目的

 地方の路線バスやコミュニティバスの利便性向上が望まれている。その一方策として,バス運行情報を提供するバスロケーションシステム(バスロケ)の導入が期待されているものの,高額な運用コストのため、実現は難しい。

 そこで本研究では,IoT(Internet of Things)技術を活用して、低コストで運用できる新たなバスロケを開発する。同時に,電子ペーパー及びエナジーハーベスト技術を利用したスマートバス停を開発し、バス停でバス情報がリアルタイムで入手できるようにする。このスマートバス停では、停電を伴う災害時にも避難情報などを配信できるようにし,安全で安心な県民生活を支える。

 バス停位置やバスロケのデータは、世界標準形式でオープン化する。これによりGoogleやAppleが提供する経路案内で、世界中からも検索可能にする。

研究の内容

 IoT向け低消費電力広域無線通信規格のLoRaWANと軽量プロトコルのMQTTを利用して、利用実態やニーズを十分に反映しながら低コストのバスロケの基本仕様を設計し、開発する。対象自治体において,LoRaWANネットワークを実際に構築し、開発したIoTバスロケをコミュニティバスに導入し試験運用する。収集したデータは、GTFS形式でオープン化できるようにする。

 また、電子ペーパーを利用してリアルタイムに情報更新が可能なスマートバス停を開発し、遅延を反映したダイナミック時刻表の提供を実現する。市役所の庁舎などからは、避難情報などを配信する実験を行い、災害時の情報配信システムとしての有効性を検証する。

研究成果の活用等

 従来のバスロケと比較して低コストで運用できるため、自治体で運行されているコミュニティバスへの導入が期待できる。また、運行管理にも活用でき、運行問合せへの対応やダイヤの見直し等のサービス改善にも利用できる。

 GTFSによるデータのオープン化は、世界中に情報発信されることになり,個人旅行を中心としたインバウンド観光の促進にもつなげられる。

 スマートバス停の活用としては、バス情報だけではなく、行政からの案内や周辺店舗のセール情報、旬な観光情報なども配信できるため、新たなサービスの構築や地域活性化にも貢献できる。

◆研究内容のイメージ◆